PORTFOLIO #092

軽井沢 深緑の山荘|case k

敷地面積
1759.30㎡ / 532.1坪
建築面積
254.65㎡ / 77.0坪

深い森の湖に浮かぶ客船

大樹に包まれた深緑の森に、ぽつりと開けた湖のような地。水々しい美しさに描いたのは、波にゆらめく船のようなモリノイエ。陽が降り注ぐ南の森に、湖面のように広がる庭を植生すると、空間はエメラルド色に染められた。鳥の目線で見る北の樹木、森の湖に潜るように見る東の大地は、内外の境界を忘れさせる。そして、水と木、火と石といった要素を空間にしつらえると、原初的な島国のヴィラのような開放感が生まれた。

敷地面積
1759.30㎡ / 532.1坪
建築面積
254.65㎡ / 77.0坪

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南から見る、大樹に包まれた新緑の森。
南の陽が降り注ぐ丘の庭。
 
十字路の角を中心に、
3時(南)から12時(西)へ
弧を描くアプローチは、
湖の桟橋のように、モリノイエへとつながる。

建築は屋根の線を水平に保ち、
土地の高低差に合わせて、上下階を設計。
 
軽井沢の森に品位を学び、
湖に停泊する船のような佇まいが生まれた。

十字路の角から南へ見る外観。
 
扇状のアプローチの上には
ベッドルームをしつらえ、
下は屋根付きのカーポートに。
 
十字路の角とモリノイエとの間は、
樹木が距離をとり、
森に隠れたベッドルームは、
鳥の巣のように宙に浮かぶ。

ベッドルームから十字路の角を望む。
 
目の前に広がるのは、樹木のゆらめき。
 
夜は樹木の隙間から星空が輝く。

雨の湖に停泊する船のようなモリノイエ。

南西から見るエントランス。
 
森に浮かぶベッドルームを船首として、
船の胴から船内へ入り込むような遊びが生まれた。

船内へ続くエントランス。
 
高低差を活かした
吹き抜けの空間に、
緑の光があふれる。

高低差のあるエントランスから見る、リビングとダイニング。
 
階段を上がる一瞬、虫の目線で室内全景が広がる。
そして、東の樹木の景色へと視界が抜ける。
 
さまざまな視線と視界の変化をどこにつくるか。
軽井沢の土地を読んできた経験から、
うつろう風景の豊かさ・愉しみを想像する。

西から東へ見る、森の船内。
 
リビングからダイニングへ続く、おおらかなワンルーム。
南の陽を反射させる庭の光が、空間に広がる。

ダイニングから、リビングとエントランスを見る。
ダイニングとリビングをつなぐ間に、火と石の空間を設計。
 
おおらかに緑の光を集めるリビングは、天井を高くしてある。一方で、火と石の空間は、天井を低くし、木で覆った。空間の重心を低くし、島国のヴィラのデッキでくつろぐような空間に。
 
庭の光を受けるリビングやダイニングとは対照的に、暗がりの中で火を囲む。

島国のヴィラのように、内外に自由な交流を生むダイニングのありさま。
 
近代建築が忘れかけている、内外を一体のものとして考えられてきた日本の建築。室内と庭との間には、自由な交流があり、四季折々の風景が広がる。西洋建築のように堅い建築の中の生活ではなく、自然とともに自由な暮らしがそこに生まれる。日本の建築が高く評価されてきた根源的な感覚を、島国のヴィラのありさまに学び、今一度立ち返りたいと考える。

内外の境界をなくす室内天井と軒天井のつながり。
 
白色にすれば光を取り込み、
木色にすれば森の中に暮らしがある感覚を、よりいっそうたしかにする。

庭から見るダイニング。北に開いた大きな窓の光が、燦々とあふれる。

北の光をあつめる空間は天井を高くし、南の陽をあつめる空間は、軒天と高さを合わせている。
高低差が生む光と影を計画し、陽と木に包まれるようなダイニングを設計。
 
ダイニングから見る、北のプライベート・エントランスへ続くキッチン。
ダイニングとリビングを中心に、どこまでも視界が抜ける。

キッチンから北の森を見上げる。

リビングからベッドルーム(西)へ抜ける視界。
 
ダイニングからバスルーム(東)へ続く廊下と大樹の風景。

ベッドルームから見るリビング。島国のヴィラに見られるような「木と石の自然美」を受け継ぐ。
 
ダイニングとバスルーム(東)の間にあるキッズルーム。
ホワイトボックスに一枚の絵画を飾るミュージアムのような空間に。

年月を重ねた東の森の風景。

北東にしつらえたゲスト・バスルームのありさま。
 
石の空間に、緑と水の光が溜まる。

北東の光があふれるサニタリールームを中央にして、
ゲスト・バスルームの向かいに、
プライベート・サウナルームを設置。

ゲスト・バスルーム、大樹の風景、キッズルームがある東棟の外観。2階にゲストルームを設け、船の操縦室のような佇まいに。

左写真:2階のゲスト・ルームへと続く階段。南の光がほどよく差し込む。
 
右写真:三角天井のシンプルなゲスト・ルーム。
森の小屋に包まれるような広さの中に、2ベッドを配置。
東の森から、かすかな光が注ぐ。

リビングから南西へ抜けるベッドルームの手前には、
個室とプライベートなバスルームを配置。
 
個室の天井を低くしたことで、南の森のあたたかさが、空間全体を包む。

プライベートなサニタリーとバスルーム。
 
地の草木を望むゲスト・バスルームとは対照的に、鳥の目線で森の風景が広がる。

水々しい恵みを享受したこの地に、森の湖を思い
建築した船のような佇まいのモリノイエ。
 
水と木、火と石といった要素が生んだ
原初的な島国のヴィラのような開放感。
そして、内外を一体のものとして
考えられてきた日本の建築。
 
ありのままの森の美しさを享受してきた先人の品位から学ぶ、軽井沢の別荘建築でありたい。