Patera

2020.06.12

モリノイエ編集室

入梅前の重みを帯びた空気、伸びやかに晴れ渡った青空の下。
またひとつ、新しいモリノイエができあがりました。 
 
玄関扉を開けてすぐ、森の緑が背景となった開放感のある吹き抜けに、不思議な球体が浮かんでいます。 
 
手掛けたのは、デンマーク人のオイヴィン・スロット。 
プロの音楽家を目指し、デンマーク王立音楽アカデミーに通いながらデザインを学んだ、異色の経歴を持つデザイナーです。 
 
「わたしのデザインは、シンプルで軽快なものとしてひとびとに経験される、ひとつの音楽作品のようでありたい」 
 
という彼の言葉の通り、合理性、論理性、調和を重んじた、音楽に始まる出自がなせるデザインアプローチからは、研ぎ澄まされた詩的な美を感じ取ることができます。 
 
また、彼は“自然”を最も重要なインスピレーションの源としています。 
 
この照明のシェードを構成する、幾重にも重ねられた複雑な螺旋は、松ぼっくり、ひまわりの種、巻き貝など、自然界で見られる「フィボナッチ数列」に基づくもの。 
 
「前の2つの数を加えると次の数になる」という性質を持ったこの数列は、極限値を取ると、世界でもっとも美しいとされる比率、黄金比(1:1.618…)」へと近づいていきます。 
 
塩化ビニルシートから切り出された、長短30本にもおよぶ螺旋の羽を、繊細に織り上げることで形作られる球。 
 
螺旋が作るひし形の羽すべてに、電球の光が同じ角度(下方45° 左右22.5°)で当たるよう計算されており、その絶妙な角度が、下方の実際的な照度と、宇宙に浮かぶ天体のような浮遊感を両立させています。 
 
さらに、どの角度から見てもグレア(電球の光が直接目に入った時の不快な眩しさ)が起きないよう、羽の奥行までも三次元的に計算されています。 
 
オイヴィン・スロットは言います。 
 
「わたしは、現代のシャンデリアを作りたかったのです。人々がこのランプの周りをまわってみたり、違う角度から見てみたくなってくれれば、嬉しいです。そして、この照明から“生命力”を感じてくれることを願っています。」 
 
 
■ペンダントライト: 
Louis Poulsen「Patera|パテラ」