軽井沢別荘の本棚01「THE JAPAN ARCHITECT 33 / ANTONIN RAYMOND」

2019.06.10

モリノイエ軽井沢 編集室

表参道と軽井沢のアトリエで、別荘や住宅の建築設計を中心に活動する私たち〈モリノイエ軽井沢〉は、“都会暮らし、森暮らし。”という新しい日本の暮らし文化をつくることを大切に、連載「軽井沢別荘の本棚」で、軽井沢にゆかりのある文学や芸術作品、建築写真などの本を紹介していきます。

01「THE JAPAN ARCHITECT 33 / ANTONIN RAYMOND」
 
新建築社(SPRING,1999)

チェコ生まれのアメリカ人建築家、アントニン・レーモンド(1888-1976)。彼が初めて日本を訪れたのは、フランク・ロイド・ライトから〈帝国ホテル〉の設計監督を任命された1919年のこと。以来43年余り日本に住み、関東大震災(1923)および第二次世界大戦後の日本の再建に際して重要な役割を果たし、軽井沢の別荘や教会、公会堂などを含む400以上の作品を残しました。そして、前川國男や吉村順三ら日本を代表する建築家からも師事され、日本における近代建築に多大な影響を与えました。
 
そんなレーモンドの代表的な建築で、今もなお〈軽井沢タリアセン・ペイネ美術館〉に移築され現存する「軽井沢夏の家」や、夏季の創作活動の場として10名ほどの所員たちと建築設計に励んだ「軽井沢の新スタジオ」、「聖ポールカトリック教会」などの建築実例を記録した本誌。彼自身が住んでいた伝統的な日本家屋が近代建築家にきわめて貴重な教えを提供していると考え、日本の大工と直接仕事をおこない、共に新たな技術を創造してきた軌跡を知ることができます。
 
また本誌には、「軽井沢夏の家」について述べたレーモンドのこんな言葉も記されています。
 
ーーー「この家で初めて食べた食事を私は決して忘れないだろう。新しい木の香り、かんなをかけたばかりの無垢の檜のテーブル、その上に置かれた灰色や赤のシンプルなガラス細工。引き戸は開け放たれ、平原、遠くの山々、延々と続く山脈のすべてが、私が居る空間の一部のように目の前に広がっていた(本誌 p.7)」
 
アントニン・レーモンドの生涯と作品、そして、オリジナル・ドローイングも収録した本誌に学び、軽井沢の森で過ごすひとときを創造する別荘建築の奥深さに、いっそうの敬意を払いたくなるのです。