軽井沢別荘建築の本棚08
「モモ」
ミヒャエル・エンデ

2019.10.31

モリノイエ軽井沢 編集室

表参道と軽井沢のアトリエで、別荘や住宅の建築設計を中心に活動する私たち〈モリノイエ軽井沢〉は、“都会暮らし、森暮らし。”という新しい日本の暮らし文化をつくることを大切に、連載「軽井沢別荘建築の本棚」で、軽井沢にゆかりのある建築家やその作品、また活動の歴史などを記録した本を紹介していきます。

08「モモ」
ミヒャエル・エンデ 作
 
大島かおり 訳
岩波書店(2005)

軽井沢の別荘・山荘には、夢があります。
豊かな自然を享受した森暮らしで、建て主が叶えたいものがあります。
だから私たちは、言葉にならない声に耳を傾けることから、すべてを始めます。
 
森暮らしの中で、どんなことをしてみたいか は、人それぞれの楽しみにあふれています。
美しい風景、心を留める本や音楽。山荘暮らしの道具やインテリア。火と雪、緑と紅葉の四季の喜び...。
 
ただひとつだけ、誰もが同じく大切にしているものがあります。
 
それは、「時間」です。
 
本書は、1973年に発行されてから半世紀近くたった今でも、世界中で愛読されているドイツの児童文学です。物語は主人公の少女モモが、人々の時間をうばっていく「灰色の男たち」から、時間を取り戻す旅をしていくというもの。簡潔なストーリー展開でありながら、人々の心の交流や、時間の真意を問い直すシーンが、散りばめられ、読む度に「時間とは何か?」を考えさせられます。
 
大人になってから読むファンタジーは、“いつもの感じ方”を変えます。子どもといっしょに、「どんなところがおもしろかった?」と語り合う時間があってもいいでしょう。
 
ーー3年後の自分は、どんな「時間」を重ねていたいか?
 
立ち止まることを知らない都会の豊かさを享受し、森暮らしに、自分の心の行方を委ねる。一度立ち止まり、大切な時間が何かを知り、また明日を迎える。
 
軽井沢の森暮らしを始める人、その夢を叶える私たちにとっての「かけがえのない時間」のことを、本書から色々な視点で考え、別荘建築の中で営まれる喜びを想像していたいと思うのです。