森の週末映画館 018「ドリス・ヴァン・ノッテン-ファブリックと花を愛する男-」

2018.07.13

モリノイエ編集室

映画のワンシーンは
過去と未来に書き残された手紙のように、
大切な何かを教えてくれる。

モリノイエで観たい映画を
マイペースに紹介していく「森の週末映画館」。
どうぞお楽しみに。

018「ドリス・ヴァン・ノッテン
-ファブリックと花を愛する男-」

原題:Dries Van Noten
公開:2016年
監督:ライナー・ホルツェマー

 

ファッションデザイナー“ドリス・ヴァン・ノッテン”の半生に迫る初のドキュメンタリー映画。ショーの舞台裏はもちろん、世界中に特注した生地が並ぶアトリエ、創作活動の源であるアントワープ郊外の邸宅などにカメラが密着。デビュー以来、多種多様な花のモチーフを使ってきたドリスのコレクションに、大きな影響を及ぼしてきた邸宅の広大な庭園も公開。美しいものを愛し、何事にも全力で取り組む完璧主義者の素顔を追う93分。

「対から生まれる偶然」

ベルギーの都市アントワープのアトリエと、美しい庭園に囲まれた郊外の邸宅で、自らの感性と向き合うドリスの創作の日々。アトリエでは無数の生地から組み合わせを考え、自邸では、森のような庭園から摘んできた花を飾る。都会の豊かさを享受して、自然の美しさに心を研ぎ澄まし、常にあらゆるものから創作のインスピレーションを得るドリスは言います。
 
「仕事とは別の大切な時間から、生まれるものがある。偶然の訪れがもたらす創造を待つだけ」と。
 
「都会と森」の豊かさを知り、「産業とファッション」、「功績と訪れることのない満足」のバランスを見定め、「着る人の個性に染められる服を作る」という実利を貫くドリス。そんな彼の半生が物語る現実のドラマは、表裏一体の両面を経てこそ出合う、真新しい発見の喜びを伝えているように思います。
 
「都会暮らし、森暮らし」の中で、朝露に濡れた庭園で花を摘むドリスさながら、軽井沢の朝に身を委ねてみたら、森の美しさも、都会の愉しさも、かつてのそれとはちがって見えてくるはず。
 
数あるファッションデザイナーのドキュメンタリー映画の中でも、ドリスが紡ぐ誠実な言葉一つひとつが、ファッションの類を越えて、創造する人すべての行先に、良き道標を示す一作。
 
それでは、また。
素敵な週末を。