森の週末映画館010「スモーク」

2017.12.22

モリノイエ編集室

映画のワンシーンは
過去と未来に書き残された手紙のように、
大切な何かを教えてくれる。
 
モリノイエで観たい映画を
マイペースに紹介していく「森の週末映画館」。
どうぞお楽しみに。

010「スモーク」

原題:Smoke
公開:1995年
出演:ハーヴェイ・カイテル / ウィリアム・ハート 他
監督:ウェイン・ワン
 
舞台は1990年のニューヨーク、ブルックリン。14年間毎朝8時に、街角の同じ場所で写真を撮り続けているタバコ屋のオーギー。常連客で作家のポールは、その中の一枚に、今は亡き妻の姿を見つけ、オーギーと心を通わせていく。そんなある日、実の父を探す少年トーマスが、車に轢かれそうになったポールを助けたことで、3人の日常が偶然に引き寄せられていく......。人々の嘘と真実、過去と現在が交差し、不思議な絆が生まれていくヒューマン・ドラマ。
 
アメリカを代表する作家ポール・オースターが、ニューヨーク・タイムズ紙のために書き下ろした「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」を原作に脚本を執筆。ヨーロッパや全米で絶大な支持を受け、日本では公開当時に恵比寿ガーデンシネマ1館だけで、9万人を動員するほどの大ヒットを記録。今なお12月になると、日本各地の映画館で上映されている不朽の名作。

「偶然の糸で結ばれる人生の不思議」

タバコ屋の店先で撮り続けてきた、4000枚にも及ぶ写真をポールに見せたオーギーは、こう語ります。
 
「世界の小さな片隅にしかすぎないが、いろんなことが起こる。一枚一枚同じようで、全部違う。時は同じペースで流れているけれど......」。
 
日々の何気ないうつろいを映し出す彼の写真。それは、私たち誰もが、同じ時間の流れにいながら、街角で交差しながらも、皆それぞれの人生を歩んでいることを物語ります。
 
しかし現実には、ポールとオーギーのように親しくなる人がいたり、17歳の少年に命を救われたポールのように、ふとした拍子で誰かと交わる人生があったりするのです。
 
そんな偶然が散りばめられた人生のワンシーンを、さまざまな人物の視点や言葉で描き出した、大人のための文学的ドラマ。「今年はどんな一年だっただろうか」と大切な人と語り合うひとときに、ぜひオススメしたい傑作です。年齢を重ねた分、これまで出会った人の数だけ、人生の不思議に思いを馳せることになるでしょうから。
 
そして、いつか巡り会う不思議な偶然に期待が膨らみ、新たな年に素晴らしい希望を抱くことになるはずです。
 
それでは、また。
素敵な一年を。