森の週末映画館 008「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」

2017.11.24

モリノイエ編集室

映画のワンシーンは
過去と未来に書き残された手紙のように、
大切な何かを教えてくれる。
 
モリノイエで観たい映画を
マイペースに紹介していく「森の週末映画館」。
どうぞお楽しみに。

008「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」

原題:5 flights up
公開:2014年
出演:モーガン・フリーマン / ダイアン・キートン 他
監督:リチャード・ロンクレイン
 
苦労の末に成功を収めた画家のアレックスと、元教師のルース。人生を共にして40年の夫婦が、ずっと住み続けてきたのは、古いマンションの5階にある「眺めのいい部屋」。
使い慣れたアトリエとキッチン、ブルックリンの街並みを望む景色、長年の思い出が詰まったこの住まいには、何の申し分もなかった。しかし、いよいよ、あることが大きな悩みの種となってきた。それは、「エレベーターがない」ということ。
 
夫の体を気遣う妻は、引越しを決意。そんな妻の思いを受けて、夫もオープンハウス巡りに付き添うことになるのだが......。
ベテラン俳優のモーガン・フリーマンとダイアン・キートンの好演が、夫婦の絆を描く物語。

「住まいをつくるもの」

「なぜ、こんなおばさんを描いてるのよ?」と、自分の肖像画を見つけたルースの問いかけに、笑みを浮かべたアレックスは「素敵な“女性”だよ」と一言。つい照れながらも、「Good Answer(いい答えね)」と喜ぶルース。
 
----- そんなやりとりを交わす夫婦は、新しい住まいを探していく中で、この「眺めのいい部屋」で過ごしてきた40年の歳月を振り返ることになりました。
 
一番の理解者である妻に応援されながら、部屋の一室にあるアトリエで、絵を描き続けてきたこと。子宝に恵まれないと知った時、夫がキッチンで、優しい言葉をかけてくれたこと。黒人と白人の結婚が難しかった当時とはちがうブルックリンの街並みを、5階の窓から一緒に見つめてきたこと......。
 
どんな時も、この家とともに、喜びや悲しみを乗り越えてきたことに、二人は気づいていきます。住まい探しを通して、今も変わらぬ価値観を確かめ合っていく夫婦の姿は、「大切な人との年月が、理想の住まいをつくる」ということを教えてくれるのでした。
 
何気なく向かい合うキッチンカウンターや壁に掛けられた絵画、寄り添って座るレザーソファや自分たちで塗った白い壁。どれを切り取っても、理想の暮らしを思い描いて暮らしてきた夫婦の毎日がうかがえるこの家に、「夫婦とは?」、「人生を共にする幸せとは?」という問いを考えさせられ、パートナーや家族、友人との時間をもっと大切にしたいと、心があたためられるのです。
 
次第に白く染まっていくニューヨークの風景と重なる、今の季節。今年の締めくくりを前に、「来年はどんなことをしようか?」と語り合いながら、大切な人と二人でグラスを傾け本作を観てみるのも、きっと素敵な時間になるはずですから、ぜひオススメしたいです。
 
それでは、また。
素敵な週末を。