私たちモリノイエ軽井沢のゲストハウス「sumori-an」。
玄関を入ると、正面の白壁に凛とした黒のラインが映える、フロアランプが目に留まります。
『SNOWDROP』と名付けられたその照明。
2009年に、デンマーク人3人によるデザインチーム「Harrit - Sorensen + Samson」が、花の「スノードロップ(待雪草)」にインスピレーションを受けて手掛けた、LE KLINT社のものです。
(児童書の『森は生きている』を読んだ方なら、女王が欲しがった花として覚えていらっしゃるかもしれません)
黒のアーチが描く茎の先で、頭を垂れる可憐な白い花。
複雑かつ繊細に折り上げられたプラスチックシートの、直線美と曲線美。
シェードから洩れ出る、たわやかな光。
その佇まいはどこか、何十年も前からそこにあったような、森と調和した家と重なります。
…
世界にその名を馳せるデンマークの照明ブランド「LE KLINT(レ・クリント)」。
今をさかのぼること、およそ110年前の1901年。
P.V.イェンセン・クリントは、船乗りの知人から聞いた日本の折り紙からインスピレーションを受け、西洋紙でオイルランプのシェードを作ります。
初めはイェンセンの個人的な趣味だったようですが、その後、1943年に商才に秀でた息子のターエ・クリントがレ・クリント社を創設し、ビジネスとして本格的に照明の製造に乗り出します。
(北欧家具がお好きな方は、クリントという名字を聞いて「おや?」と思われるかもしれません。そう、“デニッシュモダンの父”、あのコーア・クリントの父親です。ちなみに、ターエはコーアの兄。)
職人による手作業、クラフトマンシップを大切にするクリント家の精神は現代まで受け継がれ、その証左に、完成した照明には、製作を担当した職人のサインが入れられています。
創業60年を迎えた2003年には、デンマーク王室御用達に選定。
北欧を代表する照明ブランドとしての地位を確立しました。
DIARY
日々の気づき