モリノイエの本棚 006「山のパンセ」

2018.08.10

モリノイエ編集室

「山のパンセ」
串田孫一著

山の文芸誌『アルプ』をはじめ、山岳文学や小説、哲学書から翻訳、さらには画集まで。幅広い著作を世に送り続けた随筆家の串田孫一。東京に生まれ、中学生時代から登山に勤しみ、のちには東京外国語大学で教鞭をとりながら、植物や自然の風物をめぐる詩的な随想を多数執筆。そんな串田文学のなかでも、超ロングセラーとなった代表作が、他でもない『山のパンセ』です。
 
森暮らしの先人とも言える筆者が綴るのは、自然と対峙して巡らせた、つれづれなる思い。実にバラエティに富んだ思索の数々、全91編のタイトルに惹かれ、パラパラとつまみ読みをしながら、東京・軽井沢間の電車に身を委ねる週末は、とても心地よいものとなるでしょう。
 
———“山では時分の行為の質が変るように、思考の質も変るのでしょう”(「山での行為と思考」より)
 
時々の思いをぴたりと言い当てる、先人の言葉に耳を傾ける時間は、都会のはやさにおいてきた大切な何かを、思い出させてくれることでしょう。
 
(ちなみに、この文庫版。バタートーストのような厚みとぽってりしたサイズ感が、妙に旅支度と似合うのは不思議なものです)。

発行:2013年

※1972年刊行(実業之日本社)
の『山のパンセ』を底本とする

発行:山と渓谷社
著者:串田孫一