住む人と植物の
両方が心地よい庭を
デザインする。

ガーデン&ファニチャーズ

長谷川祐二さん(51歳)
職業:インテリアデザイナー&ガーデンデザイナー
長谷川定子さん(50歳)
職業:ガーデンデザイナー

モリノイエ partners

Vol.04

今回は、住む人はもちろん、木々や草花にとっても
心地よい庭づくりを目指している、
ガーデン&ファニチャーズの長谷川夫妻がご登場。
「自然と調和した素敵な暮らし」への熱い想いが、
お二人のお話を通して伝わってきました。

ーまず、ご主人の祐二さんにこの仕事を始めるきっかけからお伺いしました。

妻との出会いや共通の趣味がきっかけで
一緒に仕事を始めることに。

最初はイラストに興味があり、美術系の専門学校に入学。その当時はイラストレイターや商業デザイナーという職業が脚光を浴びていたこともあり、「僕も挑戦してみたい」と思ったのです。しかし、いざ学び始めると、自分よりも能力のある同級生がいたり、イラストの道で勝負することに迷いが出始め、最終的には当時もう一つ興味のあったインテリアデザインの道を選択することに。その後、ディスプレイ会社で7年間ほど図面描きや現場での設置など様々な仕事を経験する中で、あるディスプレイの仕事が縁で妻と出会いました。そして、僕が24歳の時に結婚。二人の共通の趣味であるアンティーク家具探しや各地のペンション巡りを楽しむうちに、自然と調和した毎日を送っている方々の暮らしが素敵に映り、徐々にナチュラルなものに惹かれていくようになりました。さらに、妻がガーデニングデザインを本格的に学び始めた時期と、私のインテリアデザイナーとしての独立が重なったこともあり、二人でガーデン&ファニチャーズを立ち上げることにしたのです。

庭の5年後、10年後を想像しながら、
植物とデザインを調和させていく。

現在の仕事では、主に僕が庭の図面を描き、妻が植物のプランニングを担当しています。常に心掛けているのは、植物たちが過ごしやすい環境づくり。基本的に人は自分のエゴで植物を無理やり一つのスペースに植えてしまいがちですが、それでは素敵な庭になりません。草木がのびのび育ち、その自然が本来持つパワー、生き生きとした姿を見ることで幸せな気持ちになってもらいたい。だからこそ、庭のデザインと植物たちの生育を調和させる庭づくりが大切だと考えています。そして、新しい庭が完成した時にその場所に昔から存在していた自然の姿のように感じてもらうことが僕のデザインの着地点です。そのためにも、植物一つひとつの個性をしっかりと理解してデザインしなければなりません。また、植物たちの5年後、10年後の姿も想像してデザインすることで、植物にとっての心地よい環境が実現しますし、住む人にとっても庭づくりを通して植物を育てることの本当の楽しさに気づくきっかけになればと考えています。

素敵な庭をつくるうえでは、
お客様との信頼関係が欠かせない。

とはいうものの、お客様に5年後、10年後の庭の姿を想像してもらうことは簡単ではありません。最初は庭が寂しく、不安に感じるお客様もいます。でも、そういう時こそ、僕は「これで素敵になります」と自信を持って伝えるようにしています。なぜなら、庭づくりはお客様との信頼関係の欠かせない仕事だからです。そのため、こまめにお客様の庭に足を運び、どんな些細な相談にも乗ります。先日も別荘のガーデニングをご依頼してくださったお客様から「チューリップが盗まれた」という連絡を受け、現場に駆けつけました。この時は野生動物が球根を食べたことが原因だったのですが、そのことをプロの観点から説明したことで、お客様はすごく安心してくださいました。結局、庭を育てていくのはお客様自身です。しかしながら、そのためのモチベーションを盛り上げたり、不安を解消してあげることは、僕たちの大事な仕事だと考えています。

春になると「長谷川マジックだね」と
褒めてくださるお客様も。

また、庭づくりには常に実験の姿勢が大切です。たとえば、植物の育ち方は環境によってまったく異なります。本では「こういう地域で育つ」と書いてあっても、実際にその土地に植えてみないと分からないケースも少なくありません。だからこそ、僕たちはそうした実験を一つひとつ繰り返しながら、お客様に最適なご提案をしていきます。よく春になると「本当に長谷川さんが言っていた通りに花々が庭を彩った。ありがとう」と感謝の声をいただくことがあり、中には「長谷川マジックだね」と仰ってくださるお客様も。そして、庭が良くなっていくと、お客様自身もうれしくなり、周囲の方々から褒められる機会も増えるため、「もっと手入れを頑張ろう」という気持ちになっていくのです。さらに、庭はご近所とのより良いコミュニケーションのきっかけにもなる。今後も住む人と植物の両方にとって心地よい庭づくりを追求していきたいですね。

ーご一緒にお仕事をされている定子さんにもお話をお聞きしました。

土や葉の種類にまで気を配り、
心地よい庭をもっと増やしていきたい。

私は植物のプランニングを専門に行っているので、その観点から少し具体的な話をしますね。庭というと、つい花や草木に関心がいきがちですが、何より重要なのは”土”。土壌環境です。たとえば、軽井沢は土の中に石がすごく多いので、日当たりの良いところでは水はけが良すぎて何も育たないこともあるんです。だからこそ、長谷川も言っていましたが実験が大切。まず、自分たち自身の手でこの土地ではどんな植物がどんな風に育つのかを試し、発見し、ご提案するようにしています。また、素敵な庭づくりのもう一つのポイントは花々の種類に加え、その葉の種類にまで細かな注意を払ってプランニングすること。庭の主役・脇役という考え方ではなく、庭全体の印象をコントロールする感覚で、その庭にとって一番居心地の良い環境をつくっていくことが大切です。お客様から見えない部分も多く、最初から理解してもらうことは大変ですが、その分、喜んでいただけた時は本当にうれしく、やりがいのある仕事だと思います。この仕事を通して、世の中にもっと人も植物も心地良い庭が増えていってほしいですね。

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