森にもっていきたいふたつのもの

001「ペンとスケッチブック」

せっかく森へ行くのなら、それらしいことはないだろうかと、ぼんやり考えてみた束の間のお昼休み。ことさら特別な理由はないが、ペンとスケッチブックさえあれば、何か思い立った時、すぐに記録しておけると、無邪気な子どものように心を躍らせている自分がいて、仕事机にあった、なんてことはないペンとスケッチブックをもっていくことにした。

そして、週末。軽井沢の朝。さんぽ道でいつもなら見過ごしていた白と黄色の野花に目が留まり、描いてみたくなった。

自然のまま、あるがままな植物のしなやかさに筆先を合わせてみる。小さな世界に、じっくりと目を向けるのは、久しぶりもいいところだった。花の影、茎の線をなるべく見たままに描くのは、案外難しい。どうも、こちらが描きたい方へ線をぐっと逸らしそうになる。子どもの頃の方が素直に描いていたかもしれない。そんなことを考えるとだんだん面白くなってきて、自然に生まれたこの曲線の美しさをどうにか捉えようと夢中になっていった。それがどこか懐かしく、清々しかった。気がつくと、けっこうな時間が経っていた。

名前も知らない野花。普段は、こんなに小さいものをじっと眺めることなんて、ほとんどないから、とても新鮮な気持ちになった。そして、小さな世界にも美しいものがたくさんあるのかと、今まで知らずにいたことをもっと知りたくなっている自分がいた。

モリノイエ編集室

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