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森の週末映画館008「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」

映画のワンシーンは
過去と未来に書き残された手紙のように、
大切な何かを教えてくれる。

モリノイエで観たい映画を
マイペースに紹介していく「森の週末映画館」。
どうぞお楽しみに。

森の週末映画館 008

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります
原題:5 fights up
2014年
出演:モーガン・フリーマン / ダイアン・キートン 他
監督:リチャード・ロンクレイン
苦労の末に成功を収めた画家のアレックスと、元教師のルース。人生を共にして40年の夫婦がずっと住み続けてきたのは、古いマンションの5階にある「眺めのいい部屋」。使い慣れたアトリエとキッチン、ブルックリンの街並みを望む景色、長年の思い出が詰まったこの住まいには、何の申し分もなかった。しかし、いよいよ、あることが大きな悩みの種となってきた。それは、「エレベーターがない」ということ。
夫の体を気遣う妻は、引越しを決意。そんな妻の思いを受けて、夫もオープンハウス巡りに付き添うことになるのだが……。ベテラン俳優のモーガン・フリーマンとダイアン・キートンの好演が、夫婦の絆を描く物語。

住まいをつくるもの

「なぜ、こんなおばさんを描いてるのよ?」と、自分の肖像画を見つけたルースの問いかけに、笑みを浮かべたアレックスは「素敵な“女性”だよ」と一言。つい照れながらも、「Good Answer(いい答えね)」と喜ぶルース。ーーー そんなやりとりを交わす夫婦は、新しい住まいを探していく中で、この「眺めのいい部屋」で過ごしてきた40年の歳月を振り返ることになりました。

一番の理解者である妻に応援されながら、部屋の一室にあるアトリエで絵を描き続けてきたこと。子宝に恵まれないと知った時、夫がキッチンで優しい言葉をかけてくれたこと。黒人と白人の結婚が難しかった当時とはちがう、ブルックリンの街並みを、5階の窓から一緒に見つめてきたこと……。

どんな時も、この家とともに、喜びや悲しみを乗り越えてきたことに、二人は気づいていきます。そんな風に、今も変わらぬ価値観を確かめ合っていく夫婦の姿は、「大切な人との年月が、住まいをつくる」ということを教えてくれるのでした。

何気なく向かい合うキッチンカウンターや壁に掛けられた絵画、寄り添って座るレザーソファや自分たちで塗った白い壁。どれを切り取っても、理想の暮らしに込めた夫婦の選択がうかがえるこの家に、「夫婦とは?」、「人生を共にする幸せとは?」という問いを考えさせられ、パートナーや家族、友人との時間をもっと大切にしたいと、心があたためられるのです。

次第に白く染まっていくニューヨークの風景と重なる、今の季節。今年の締めくくりを前に、「来年はどんなことをしようか?」と語り合いながら、大切な人とグラスを傾け、本作を観てみるのも、きっと素敵な時間になるはずですから、ぜひオススメしたいです。

 

それでは、また。
素敵な週末を。

 


ILLUSTRATION & TEXT:モリノイエ編集室