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森の週末映画館002「her」

映画のワンシーンは
過去と未来に書き残された手紙のように、
大切な何かを教えてくれる。
 
モリノイエで観たい映画を
マイペースにご紹介していく「森の週末映画館」。

森の週末映画館 002
 
「her / 世界でひとつの彼女」

原題:her(2013年)
出演:ホアキン・フェニックス / エイミー・アダムス / スカーレット・ヨハンソン 他
監督:スパイク・ジョーンズ

 高性能のパソコンが声を認知し、手紙を書いてくれる、しかも手書き風に。そんな近未来が舞台のSFラブストーリー。主人公のセオドアは、依頼主に代わって、手紙を書く代筆ライター。パソコンの前で、想いを語る(綴る?)日々を送っていた彼は、ある日、人工知能OSのサマンサを手に入れ、恋をする。イヤホン越しにささやく彼女の声に、人混みの中を走り出すほどに浮かれ、ことあるごとに彼女と語り合い、現実かバーチャルか、彼の人生が輝きはじめるが……。この恋にはある真実が隠されていた。真実を知ったセオドアが、最後に抱いた想いとは。

「大切な誰かがそばにいる。

どんなときも」

 

手紙、電話、メール、SNS……。テクノロジーが発達し、多様なコミュニケーションが可能になった現代。人はこれから、どんな方法でコミュニケーションを図るようになっていくのだろうか。
 
本作で描かれる近未来の世界では、主人公セオドアが、生身の姿のない人工知能サマンサに恋をする。街を歩きながら独り言のように、デバイスに話しかけるセオドア。彼だけでなく街ですれ違う人々も皆、デバイスに向かって語りかけている。
 
そんなテクノロジーの進化と人々のコミュニケーションの変化を憂うようなシーンが散りばめられているが、反対に、象徴的に描かれているのは、「人はいつだって誰かと語り合う」という普遍的な人々の姿。セオドアと語り合う人たち。サマンサに恋する彼をダブルデートに誘う友人夫婦。真実を知った彼を励ます同僚。悲しい気持ちを慰め合う旧友。そんな彼を支える身近な人たちの姿に、「大切な人がどんなときもそばにいる」ということを気づかされる。
 
観終わった頃には、そんな思いが募って、友人や愛する人、家族と語り合う時間を、もっと密に重ねていきたいと心があたたまる、モリノイエでゆっくりと過ごす余暇におすすめの一作です。


ILLUSTRATION & TEXT:モリノイエ編集室